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【ケース面接】「JTBの売上を上げるには」を解いてみた

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こんにちは、就活の鷹です。

前回ケース面接を解いてみた記事を公開したところ、かなり好評だったので、時間がかなり空いてしまいましたが第二弾を出します。

今回はJTBをお題として解いてみました。これは絶対の正解ではないでしょうし、論点の抜け漏れなどあると思います。本番ではこれに対し、現役社員の方から突っ込みをいただき、それをもとにより改善していくことになります。

旅行代理店業界およびJTBについてあまり詳しくない中でケースをやっているので、前提情報や仮説として置いたものが間違っている場合はあります。そこはご容赦いただきたいです。

図をパワポでキレイに作っていないのは、やるのが面倒くさかったから手書きのほうがケースの臨場感が伝わると思ったからです。Appleペンシルで悪戦苦闘しながら書いたため、字が汚いです。申し訳ありません。

では、実際に解いてみたものをご覧ください。

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前提条件~議論の方向性決め

以下のような設定で始めました。

お題:JTBの売上を上げるには
設定:JTBの社長をクライアントと仮定
条件:40分程度、必要な仮定は適時置く

いきなり考えろと言われても、何から考えていけばいいか、迷います。なので、まずは論点になりそうなものを洗い出しました。

  • JTBのビジネスモデルは何か
  • 提供価値は何か
  • 顧客の購買フロー
  • 顧客の購買基準
  • どのような競合がいるのか(顧客にとっての選択肢は何か)
  • 旅行にはどのようなタイプがあるのか
  • どのような市場の変化が起こるか
  • JTBならではの強みは何か

とりあえず挙げてみた感じだと、まずはJTBが何をビジネスにしているのか考えた後、顧客や今後のトレンドを踏まえて売上のどこをどう伸ばしていくのか議論していくのが良さそうです。論点の大きな流れとしては、以下のような感じでしょうか。

  • JTBのビジネスモデル
  • 顧客の購買基準(=市場の競争要因)
  • JTBならではの強みとは
  • どういう顧客を狙うべきか
  • どのように狙っていくべきか

この流れに沿ってケースを進めていきます。ただし、途中経過次第で順序を変えたり、新しく論点を追加したりと柔軟にやっていきます。

JTBのビジネスモデルとは何か

ではまずビジネスモデルから整理していきましょう。ちなみに、ここではJTBの提供価値なども含めて包括的にビジネスモデルと呼んでいます。

JTBは旅行代理店です。店舗を国内外に多く持ち、旅行のパッケージを売っています。オンラインサイトもあって、業界トップ、ブランドもあり、信頼性も高い、といったイメージがあります。

ビジネスモデルを軽く図にするなら、以下のような形でしょうか。

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JTBは代理店です。顧客、つまり私たちはなぜ代理店を使うかというと、面倒くさい、分からない、からです。まず各手続きをするのが面倒くさい、そして英語ができなかったり、行先についてよく分からない、そんなときに助けてくれます。また旅行中に何かあったときに助けてくれたりもします。

そういう意味でJTBをはじめとする旅行代理店は、

  • 旅に関する圧倒的な専門知識の活用(情報格差の利用)
  • 煩雑な手続きなどの代行
  • 旅行前、中、後のサポート

の3点が大きな提供価値だと思われます。

前2つの提供価値ですが、情報格差や手続きの煩雑さは、インターネットの活躍でかなり解決されていそうです。昔は現地に行ったことがある人しか知らなかった情報も、今は検索すればネットですぐ出てきます。これはJTBにとってかなり影響をうけていそうです。

顧客の判断基準は何か

次に顧客の判断基準は何か考えていきます。これはつまり「何を軸として代理店を選んでいるのか」ということです。これが分かれば何をすれば顧客を獲得できるのかが分かります。

ここでの顧客とは、先ほどのビジネスモデルを見る限り、旅行客です。では旅行客はどのようなフローで代理店を決定するのでしょうか。

旅行に行きたい
→ネットやパンフレット、店舗などで情報を集める
→プランを複数比較する
→自分で手配するor代理店を通して手配
→実際に旅行へ行く

もちろん代理店を通さずに行く人もいるでしょう。その場合は自分で各種チケットを手配する必要があります。そういった人は、Airbnbやskyscannerなどのオンライン予約サービスを使っているはずです。となるとJTBの競合には代理店だけでなく、宿のや飛行機チケットの取りまとめサイトも入ってきそうです。

そういった際、顧客はどのような判断基準をもって代理店を使う/使わない、どの代理店を使うか、を判断しているのでしょうか。
そもそもパッケージで頼まず、自分で手配するのはなぜでしょうか。

  • 安い
  • 組み合わせの自由が利く

このあたりが大きな理由として挙げられそうです。安さに関しては、代理店も大量仕入れで値引きを得ているはずなので、自己手配のほうが確実に安いとは言えないかもしれませんが、感覚としてはパッケージより安い気はします。組み合わせの自由さはかなりのメリットです。Airbnbなどの独自の魅力があるサービスも利用できますし。

情報の収集に手間がかかること、それに自己手配である分、何かあったときにリスクは自分に返ってくることがデメリットでしょうか。オンラインサービスに親和性がないと使えないことも制約としてありそうです。

このあたりを考えると、代理店を使わないのは、
旅行の自由さ、安さ > 安全性、信頼性、サポート、時間節約
となっている若者が多そうです。

ではどの代理店にしようか決める際の判断軸はどうでしょうか。代理店といっても抽象から大手、オンライン型、店舗型と色々あります。

JTBを選ぶ人はなぜJTBなのでしょうか。おそらく他のサービスよりも値段は多少高めのはずです。しかし、それでも選ぶからには何かあるはずです。

それはやはり信頼や安全、サポートを重視しているからではないでしょうか。つまりは自己手配の逆です。JTBは、国内外に多くの拠点を持ち、サポートも充実していると考えられます。そして長年積み上げてきた信頼性、ブランドもあります。これらはオンライン代理店などにはないJTBならではの強みでしょう。

楽天トラベル、DeNAトラベルなどのオンライン型を選ぶ人はJTBと代理店ナシの中間といったところでしょうか。あとはオンラインで全てできるという利便性もあるのでしょう。

ただ、投資ツアーなどを開催する中小代理店が選ばれるも、JTBと同じように信頼性だと思われます。「この人のツアーだから儲かるはず!」みたいな感じですね。旅行の目的によって、「信頼」の定義は変わると考えられます。

となると旅行代理店を通す/通さないやどれを選ぶかを決める際は、

  • 旅行の自由さ
  • 価格の安さ
  • 安全性、信頼性
  • サポートの手厚さ
  • かかる時間(手間)

のあたりが判断軸となっていそうです。これは冒頭で出した旅行代理店の提供価値ともリンクしていますね。そして旅行の主体やシーン及び目的などによってそのどれを重視するかが変わってくるはずです。

どの顧客を狙うべきか

旅行客のセグメンテーション

これまでで顧客ごとに判断基準が違うと分かった以上、その基準に沿って顧客をセグメンテーションして、個別セグメントごとにやらないと施策を出しても効果が薄いと分かります。「どの顧客を狙うか」という議論をするためにも、まずは顧客をセグメンテーションしたいところです。

旅行客の切り口としては以下のようなものがあげられるでしょうか。

  • 行先:国内、国外、近場、遠出…
  • シーン:1人旅行、家族旅行、恋人との旅行、友達との旅行、会社の旅行、出張…
  • 予算:抑えめ、普通、パーと使う…
  • 目的:結婚祝い、慰安、温泉治療…
  • 手段:飛行機、自動車、バス、電車…
  • 属性:学生、若手社会人、シニア社会人、主婦、高齢者…

これらの切り口を全て採用していては細かすぎるので、どの切り口を採用するか決めます。ここではシーンと属性を使うことにしました。

シーンごとに分けたのは先ほどの評価基準がシーンでかなり変わってくるからです。また学生の友達旅行と老人の友達旅行では、安全性や信頼性への感度、金銭的余裕などがかなり変わってくるように、属性の違いも判断基準に影響を与えると考えました。

ちなみに、ここでは最終的にJTBの強みである信頼、安全、サポートといった要素を活かせそうなセグメントを意図的に作りにいっています。

ではシーン、属性を使ってセグメンテーションします。抜け漏れやダブりも存在しますが、その後の施策へ向け大きく支障が出るものでなければよしとして進めます。

旅行は世帯単位で行くこともあります。ここでの学生、社会人、主婦、シニアは人ベースでの分け方ですが、ここでは「旅行プランを決定する世帯の中の1人」がどこに属するかによって、旅行を分けたいと思います。

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学生やシニアが家族旅行や会社旅行に関して、決定者であることは少ないため、除外しました。主婦の会社旅行と出張も同じです。

狙うべきセグメントを特定

図中に青くなっているのは代理店ナシもしくはオンライン代理店が強いであろうセグメント、水色になっているのは、どちらとも言えないセグメント、赤くなっているのはJTBが強いであろうセグメントです。

学生に関しては、時間があり、かつ価格の安さや旅行の自由さを重視するという点で、代理店ナシやオンライン特化の代理店などが強いでしょう。

社会人や主婦でも、1人旅や友達と旅行する際は、学生と同じ傾向もあると思います。しかし、学生ほど時間に余裕はないが、金銭的余裕はあることを考えると、学生よりも代理店を通すことが多くなるのではないでしょうか。

また恋人/夫婦で旅行に行く際は、旅行プランを決める際、「パートナーが満足するか」がかなり大事なポイントです。その際にはやはり信頼できる代理店を選ぶ可能性が高くなると考えます。

家族旅行に関しては子供のことも考え、安全や信頼といった要素をより強く意識するはずです。となると家族旅行に関してはJTBが強いセグメントといっていいでしょう。

シニアに関しては、ある程度の金銭的余裕があり、かつ身体的にそこまでアクティブではないわけですから、代理店に頼んでしまうのが一般的に感じます。オンラインに親和性が低い場合も多く、安全や信頼を重視するという点からも、JTBが強いセグメントといって良さそうです。

会社の旅行や出張に関しては、個人旅行と違い会社の経費が落ちるので、自分の財布からお金を出すわけではありません。となると価格よりも「ミスって他の社員や上司に怒られたくないから、多少お金がかかっても信頼できるとこに頼もう」という心理が働くはずです。したがって法人需要には代理店ナシ、オンライン代理店などに比べ、JTBの強みが効きやすいと考えました。

ここで弱いセグメントを補強しにいけるかどうかという論点ですが、結論として、積極的に補強しに行く必要はないと思います。

その理由としては、

  • 補強したところで競合も強く、勝てるかどうか不安が残る
  • そもそもそのセグメントは客単価が低く、代理店として旨みがない

の2点が挙げられます。

旅行の自由さ(組み合わせを自分で決められる)、代理店を通さないゆえの安さ、といった要素はJTBが旅行代理店をというビジネスモデルを取っている以上、埋めようがない部分です。

オンラインサイトの対応を充実させていくことは可能でしょうが、楽天トラベル、DeNAトラベルといった競合が既に存在しており、オンラインに関しては彼らのほうが優位性が強いです。となると利便性向上のため、オンライン強化はするものの、特化はしない、という方針が良さそうです。

またそもそも若年層の旅行などは予算が低く、手数料で儲ける代理店としては、うまみがそれほどない領域でもあります。よって、弱いセグメントは積極的に取りに行く必要はないでしょう。

強みを発揮できるセグメントは家族旅行、シニアの個人旅行、法人旅行のあたりです。そちらは客単価も高く、そちらに特化してもそれなりの規模の売上は見込めます。

また高齢者などはまだ旅行需要を開拓しきれていない領域ですので、そちらを開拓できれば、より売上を伸ばしていけるのではないでしょうか。

セグメントごとに具体的な施策を提案

JTBの売上は、
人口×旅行に行く率×頻度×代理店通す率×JTB選択率×一回当たりの金額
によって表すことができます。

では各セグメントにおいて、これらの要素のどこに向上余地があるか考えていきましょう。

家族旅行

まずは家族旅行です。家族旅行に関しては、大事なのは「子供の満足度」でしょう。JTBも宿だけでなくアクティビティーなどもパッケージに含めたプランなどを用意しているなど、現状でプランの工夫はしています。

プランの質以外に目を向けてみましょう。旅行における楽しさを決めるのは「何をするか」「何を食べるか」「どこに泊まるか」そして「誰と行くか」も入って来るはずです。子供にとって誰と一緒に行くのが楽しいのか、親も勿論ですが楽しいとなるとやはり友達でしょう。

そこで家族旅行を1家族だけでなく、複数家族一緒に行くプランにするのはどうでしょうか。各家庭で休暇の取得を合わせなくてはいけないなど、実現へ向けたネックはありますが、1つの家族が提案すれば、他の家族もまとめてJTBのプランに引き込めるのが魅力です。普段そこまで旅行に行かない家族へ、旅行を喚起することにも繋がります。旅行頻度やJTB選択率を向上させることが出来そうです。

シニアの個人旅行

シニアの個人旅行に関しては、そもそも「旅行に行くようなシニア」を増やす必要がありそうです。では、なぜシニアの方が旅行に行かないのか、行きまくってる人とそうでない人の差はどこにあるのでしょうか。

一緒に行く人がいない、というのは1つ大きな原因のように思えます。夫婦で旅行好きならいいですが、そうではない、もしくは独り身状態の場合は、一緒に行く人がいないです。シニアになって1人で旅行に行くのは健康状態的にもなかなかハードルがありそうです。

そこでJTBがそういった人を集め、ある種マッチングさせてあげるようなプランを作れないでしょうか。1人から参加でき、一緒に参加した人と交流を経て仲良くなってもらう。そうれば次回以降はそこで仲良くなってもらった人たちで旅行に行けます。

また身体的にハードルがある、というのも旅行のネックになっていそうです。そこへの考慮も考え、ツアーに介護士や医師も帯同するようなものにすることもいいかもしれません。

老人ホームや区民官などにアプローチをし、そこから参加者を募るようなプロモーションの方法、もしくは息子娘家族からプッシュしてもらえるよう、家族旅行などで既存顧客である家族へ「親孝行パック」のようなものを告知するのも可能性がありそうです。

法人の旅行/出張

法人に関しては、現状でどの程度の取り組みができているのか分からないので難しいです。ただ慰安旅行や社員旅行は、コストカットや家族のような雰囲気を若干避ける傾向から、かつてほどやらなくなっているのではないでしょうか。今後もその流れは続きそうなので、そこはこれまで通りのやり方を続け、新たに注力しなくても良さそうです。

出張ですが、国内の場合は正直、新幹線や飛行機を自分で取り、あとはアパホテルなどのビジネスホテルを予約する形が多いでしょう。となるとJTBが絡めそうなのは海外出張です。企業は階級によって出張の際の予算が変わったりすることから、予算の大小に合わせて数パターンプランを作っておくのがいいのではないでしょうか。(これは今もやってそうですが)

今後日本からの出張が増えそうなのは東南アジアです。現地人員の増加など、東南アジアのホテルなどへのコネクションや現地でのサポート体制をより強めていくことが出来れば、売上も維持、向上させていくことは可能と考えます。

法人と書いて抜けていた発想を思い出しました。留学です。現地のサポートなどJTBの強みが効くエリアでもあります。ただ規模が旅行や出張に比べ圧倒的に少ないので、JTBの売上規模を考えるとあまり優先順位は高くなさそうです。

今後英語学習などで留学はより増えていくと考えられるので、ある程度種をまいておくのはいいかもしれません。留学斡旋などは既存で留学支援業者などがやっているので、そことJTBが提携して、JTBはチケットや宿を提供するといった形です。 もしくはJTB自らが企画し、それを大学や企業に売り込むのもいいかもしれません。

新規事業の可能性

この施策として、現状よりも客数を狭めることになります。売上の向上をしなければいけないなかで、いくら客単価が上がるといってもそれだけではきついかもしれません。そこでより客単価を高めるという観点から、バリューチェーンの外への進出も考えてみました。

例えば、宿泊施設やレジャー施設をJTBが企画運営することです。JTBホテルのようなものを展開し、そこで食事やショッピングなどもしてもらえれば、今以上に客単価を高められますし、利益も上がります。ハウステンボスのようなリゾート施設を作れる、というのが最終形態になりそうです。

終わりに

いかがだったでしょうか。今回はJTBをお題にして解いてみました。

時間との兼ね合いもあり、セグメントを絞った後から施策までが駆け足になってしまったと思っています。申し訳ありません。もっと論点を絞れば、より深いところまで議論できたはずですね。

それ以外にも「代理店単位というよりプラン単位で比較するよね」「新規とリピートってどうなってるんだろう」など、記事にしながら考えるべきところがどんどん出てきました。

まあ、つまり何が言いたいかというと、完璧などでは全くないということです。内定者といえど、そんなもんです。

皆さんもケースをやるときは「これは完璧な答えだ!」などと思わないようにしましょう。完璧な回答を作ることではなく、面接官の指摘をスポンジのように吸収し、それを活かしきることにこそ注力してみてください。

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