エントリーシートの教科書【学生時代に頑張ったこと/自己PR/強み】
こんにちは、就活の鷹です。
皆さんのエントリーシート(以下、「ES」)添削をしている中で、皆さんが抱える問題がかなり共通しているなと感じました。そのため、そもそもESをどうやって書けばいいのか、その中でどういったポイントに気を付ければいいのか、について体系的にまとめようと思います。
今回はESの中でも、「学生時代に頑張ったこと」「自己PR」「強み」について具体例を交えて解説していきます。志望動機については別記事で解説するので、そちらの公開をお待ちください。
また今回はエントリーシートを書く上で必ず押さえるべき要素を解説していきます。応用編にあたるような要素もあるのですが、そちらは後日記事を出すので、そちらも合わせてご覧ください。
過去に行ったES添削を記事化したものもありますので、お時間あればこちらも併せてご覧ください。
「自分のどのような強みを押し出すのか考える」ES添削実況 part1
「自分の強みとは、それが引き起こした結果ではなく、結果を出せた理由にある」 ES添削実況 part2
「起業は手段であって、目的ではない」 ES添削実況part3
目次
まず初めに「何を書くべきか」についてお伝えした後、具体的な書き方について解説していきます。ESを添削していると、「そもそも書くべき内容がズレている」というケースが散見されます。
まず何を書くべきかを定めるためにも、飛ばさず最初からじっくりとお読みください。
- ESで伝えるメッセージ&ストーリーの決定
- 企業の求める人材を把握する
- 自分の経験と組み合わせる
- 具体例
- 構造の作成
- 作り方
- よくあるミスと対応策
- 実際に記述
- まとめ
ESで伝えるメッセージ&ストーリーの決定
企業の求める人材を把握する
まずは企業が求める人物像の把握をしましょう。これなしでESを書いてしまうと、自分の押し出すメッセージが企業に刺さるかどうかがただのギャンブルになってしまします。
もちろん様々な企業に自分が一番納得いくESを出し、通ったところだけ選考を受ける、とかでもいいですが、多くの方はそれでは満足しないと思います。自己分析とかそんなものの前に「三菱商事にいきたい!」などと思っているのが普通です。
ギャンブルではなく、狙って内定を取るためにも、このフェーズはしっかりと行いましょう。求める人材を把握するための業界/企業研究については後日記事を出すのでそちらをご覧ください。
そもそも企業は何のためにESを課すのか
企業が採用選考をする理由は、あなたを採用するべきか否かを見極めるためです。
そう考えると、ESで企業が知りたいことがいくつか思いつきます。
- あなたは活躍できるのか
- 長く働いてくれるのか
- 企業にフィットするか
- ~~~
あなたはこれらの疑問に対して、自分が最適な候補ですよ!とESでアピールしなければならないわけです。
そのためにはESを読んだ後に採用担当の人にどう思ってほしいかを意識してメッセージを決める必要があります。
例にアクセンチュアを出して説明します。アクセンチュアの採用ページを見てみると、以下のような言葉が見られます。
- 知的好奇心
- 分析に基づいた計画
- 周りに変化
- 相手に応じたコミュニケーション
- 高い目標
- 柔軟
企業が自分でこのような人材が欲しいと言っているので、これらに当てはまる人間であると感じてもらえたほうが通過しやすそうです。このようにESを書く際にはまず、相手が何を求めているかを認識する必要があります。
企業によっては自分なりにかみ砕いて理解する必要あり
ただし企業によっては採用ページを見ても抽象的かつ曖昧なことしか書いていない場合もあります。
僕の考える最強の就活生、になっている企業は多いです。「コミュ力高くて、考える力もあって、礼儀正しい子が欲しい!」といった具合です。「いや、そんなやついないよ!」「いたとしても、もう起業してたり、もっといい企業行っちゃうでしょ笑」と突っ込みたくなります。
また言葉の定義が違うことも多々あります。例えば、コンサルでいうコミュ力と商社でいうコミュ力は異なります。同じ業界内でも企業によって異なる場合もあります。加えて、「総合人間力が高い人間が欲しい」という風に企業がよく分からない単語を作り出していることもあります。
こういった場合は、こちらから「相手の求める人材」をかみ砕いて理解してあげる必要があります。それを自分の言葉として理解し、メッセージの決定へ活かすわけです。
自分の経験と組み合わせる
企業が求める人材が分かったら次は使うストーリーと読み手に伝えるメッセージを決めます。
例えば、「相手に応じたコミュニケーションを取れる人間である」と押し出したければそれらしいストーリーを探します。営業で相手を説得したストーリーであったり、チームを一人一人違う方法で説得して何かを成し遂げたストーリーであったり人それぞれです。
よくESで見る例だと、「インターンで分析に基づいて何かを成し遂げた」「バイト先で~~をして集客力を向上させた」などでしょうか。
ストーリーが決まれば、そのストーリーからどういうメッセージにするかを決められます。
営業の例でいえば、「相手の課題を把握したうえでそれへの解決策を提案できる」がメッセージになるでしょう。分析に基づいて何かを成し遂げたであれば、「現状を分析して適切な施策を打てる」がメッセージとなります。
メッセージとストーリーは整合性がとれるように伝え方を何度もブラッシュアップしていきます。
具体例
これまでで企業が求める人材と自分の伝えるメッセージ&エピソードをマッチさせる話をしてきました。ただ、いきなりそう言われてもイメージしずらいと思うので、実際に具体例を見ていきましょう。
総合商社やデベロッパーなどが求める「周りを巻き込むことができる」をメッセージとしたESを書くとしましょう。そのうえで、自分は「サークルのイベント参加率を〇%増やした」という経験を持っています。
まずは整合性が取れていない例です。
ストーリー:サークルで参加率を〇%増やした → 参加率が低かった → 原因は計画性のなさによる情報伝達の遅さだと想定 → 計画を立てる会議を定期的に開く、1か月前に必ず連絡 → 結果予定が確保できるようになり参加者増
この例だと他人を巻き込んではいるものの、ESの大部分は「課題を発見して適切な行動をとる」に関する話になっています。これを読んだ面接官は「このこは課題発見能力に優れているのだな」と伝わります。「周りを巻き込む力」をアピールできていません。
同じストーリーで「周りを巻き込む力がある」をサポートしたい場合は、伝える話のフォーカスを変える必要があります。少しストーリーを修正してみたらどうなるでしょうか?
先ほどは課題発見力がメインだったのに対し、こちらでは「相手に合わせたコミュニケーションをとれる」が伝わるかと思います。まだ若干遠いですが、「周りを巻き込むことができる」に近いような話になりました。
このように、基本的に平凡な経験であっても伝え方次第で上記の求める人材であることを説明できます。逆にどれだけ凄い経験をしていても、求める人材から離れていては意味がありません。
構造の作成
作り方
上のセクションで少し触れましたが、ストーリーの流れをまず作ります。
最終的には以下の構造を目指します。もちろん他の構造で分かりやすく書ける場合は問題ないですが、このフレームに従った方が簡単にかつ分かりやすく書けると思います。
- メッセージ
- 現状・課題
- 仮説・(分析)
- 解決策
- 達成したこと
- (まとめ)
例えば、「分析に基づいた施策を打てる」というメッセージで、アルバイトの経験をストーリーに使うとします。すると考えうる構造は以下のようになります。
- メッセージ:
分析に基づいた施策が打てる - 現状・課題:
ハンバーガー店でアルバイト、売上大幅減、誰も原因がわからない、3年働いた愛着のある店なのでつぶれてほしくない - 仮説・(分析):
データを分析したら客単価が20%下がっていることが分かった、メニューの変更によってサイドメニューが見づらくなったのではという仮説 - 解決策:
サイドメニューのポップ作成・注文時のサイドメニューおすすめ - 達成したこと:
客単価・売上がもとの状態に戻った - (まとめ):
(このように現状をデータに基づき分析し、解決策を提案できる)
ここで注意してほしいのは、すべての要素が平等に大事ではないということです。
今回のメッセージは「分析に基づいた施策が打てる」ですので、課題分析や仮設立案の部分に大部分の文量を割くべきです。
一方、先ほどのように「相手に合わせたコミュニケーションができる」がメッセージの際は、解決策の実行に関してしっかりと書く必要があります。
よくあるミスと対応策
先ほどは構造を作る際のフレームワークをご紹介しました。しかし、そのフレームワークに沿ったからといって良いものができるわけではありません。
そこで次は構造を作るうえでのよくあるミスと対応策を解説していきます。下記のミスをしないように、気を付けて構造を作りましょう。
①課題・仮説・解決策に一貫性がない
ESを添削していて一番多いミスです。面接までこぎつけたとしても、具体的なつながりを掘られたらほぼ間違いなく倒されます。これに関してはロジカルシンキングができるかどうかが肝になってきますので、読んでも何が問題かわからない方は、ロジカルシンキングの本で勉強することをお勧めします。
以下はオススメの書籍です。ロジカルシンキング全般について鍛えたいのであれば、1冊目がベーシックなものになっています。特にライティングについて詳しく学びたいのであれば2冊目をオススメします。本記事にて解説しているような内容がより詳しく書かれています。
次に一貫性のなさが発生する具体的な例を見ていきましょう。よくあることなので、自分がそうなっていないか考えながら見てみてください。
例1「前提の共有不足」
これは気づきにくい方が多いです。非常にもったいないミスなので、今一度自分のESをチェックしてみてください。
本人の中ではロジックが通っているが、それを伝えきれていないため、他の人(面接官)が見た時には「なにこれ?なんでそうなるの?」となってしまうパターンです。
例えば以下のようなES構成だったとしましょう。
読んでみるとそれっぽい感じがしますがしっかりと考えるとつながりが弱いことが分かります。なぜつながりが弱いかというと、“必要な前提”が共有されていないからです。
時間制の飲食店でアルバイトされていた方ならアルバイトの効率がそのまま席効率につながることはご存知かもしれません。しかし、大体の人がその知識を持っていません。そのため読んでいる人からすれば「新人の育成してなんで売上上がるんだ?バイトの態度がめっちゃいいからってそんな目に見えて売上上がるのか?」と感じてしまいます。
なので、つながりを作るためには、
というところまで伝える必要があります。
例2「因果が弱い」
これはロジックとしてはつながっているものの、その繋がりが弱いパターンです。ある程度ESを書きなれてきた方がやるミスとしては、これが一番多いかもしれません。
具体例で見ていきましょう。
これも構造にしてみるといかにも「おかしくない?」と気づけますが、文章にしてみると案外美しく見えてしまいます。ロジックは通っているので見ていてそこまでの違和感もないですし。
この例での問題点は楽しいイベント=海水浴という謎のロジックが展開されているところです。もしサークルの中で海水浴を楽しいと思う人が10%しかいなければ、この施策はそもそも全体の10%にしか刺さりません。
これを因果の繋がりも意識して書くのであれば、
のようにすればサークル員にとって楽しいイベントというつながりができます。
こういった弱い論理の繋がりを「風が吹けば桶屋が儲かる」というエピソードをもとに説明することがあります。気になる方はググってみてください。
②原因分析が抜けている
これをやると問題に直面した時にあなたがどう考えるのかが全く分かりません。企業が求めているのは再現性のあるストーリー(どうやって問題にアプローチするか)であり、あなたが何を理想とするかには興味がありません。
よくある例としては以下のようなものがあります。
例1:部活で新入生が全然入ってこない→解決のために2つの施策
例2:インターンで新規事業を任される→自身が尊敬するアプリ開発者の施策を実施
読み手からするとなぜそれらの施策をしたのかが全く分かりません。後者に関しては、入社した後に全ての事業にそれを適用されちゃかなわんとまで思います。
なので、上記の例に関しては
例1:部活で新入生が全然入ってこない→こうこうこういう理由で部活の知名度が原因だと考える→解決のために2つの施策
例2:インターンで新規事業を任される→こうこうこういう理由で顧客の体験が一番だと考える→同じような状況にあったアプリの事例から二つの施策を実施
のように書くべきでしょう。
③抽象的すぎる
文字数が足りないESにありがちです。文字数を指定する理由はその程度の具体性であなたのことを知りたいというメッセージに他なりません。
例えば400文字指定の際に、要約すると以下のことを言っていて大体は関係ない話をしている場合が多々あります。
この抽象性だとせいぜい100文字指定くらいでしょう。なぜ練習が少なかったのか、なぜ増やすと勝利につながるのか、どのような練習を増やしたのか等5W1Hなどを参考に具体的に書く必要があります。
④構造が分かりづらい
こういうESを読むと構造を作らずに文を書き始めたとすぐにわかります。絶対に文にする前に上で紹介したような構造を作りましょう。
何枚もESを読まなければいけない状況でこういうESに出会うともはや読みたくありません。一番簡単に改善できる場所なのでここだけは外さないようにしましょう。
⑤メッセージが多い
成し遂げたことや施策が多すぎてサポートできていないケースです。「私はコミュニケーション能力が高く、行動力もあり、リーダーシップもある」といったESです。
基本的に1つのESからは1つのメッセージをサポートするのが限界です。複数のメッセージをサポートするにはよほど上手く構成を練る必要がありますし、そうしたところで結局は1つ1つのメッセージ性が薄れてしまいます。
あれこれ書きたくなる気持ちはわかりますが、そこはぐっと堪えて、自分が一番伝えたい「これぞ!」というメッセージのみを伝えるようにしましょう。
実際に記述
ここまで「何を」「どのように」伝えるかを決めてきました。そして最後に実際に日本語としてESを書いていきます。
ただし、ESを添削していて問題があるのは圧倒的に伝える内容に関する部分なので、ESをがっつりと書き始める前に、上記までの流れをしっかりできているか今一度確認してください。
これまでのステップを正しく行えているのであれば、構成をいじる必要はありません。ですので残りはESとしての体裁を整える作業です。文字数に合わせた入れる入れないの判断、言い回しのブラッシュアップ、日本語チェック(ですとであるが混ざっている、誤字脱字など)等を繰り返し完成となります。
たまに質問いただく内容として「だである調、ですます調のどちらがいいか」というものがありますが、個人的にはだである調をオススメしています。そちらの方が字数が短くて済むので、より密度の濃いESを書けるからです。
ただこれは好みの問題でもあるので、自分が書いていて違和感ないものにするのが一番かもしれません。
日本語があっているか、読み手に意図した内容が伝わっているかに関しては、第三者に読んでもらうのが一番だと思います。親や友達、知り合いの社会人などに見てもらうといいと思います。
終わりに
今回はESの書く内容の決め方から具体的な書き方までお伝えしました。皆さまいかがだったでしょうか?
就活生にとってESとは、大量生産の消耗品といったイメージがあると思います。しかしこの記事でお伝えした通り、本来であれば受ける企業ごとにオーダーメイドで作る必要があります。
大量生産で同じものを送って通過したところで、その次の面接で詰められて落ちる、というのは想像するに難くありません。
この記事でお伝えした方法はESだけに留まるものではなく、その後の全ての選考フローにて効くものです。そしてこういった本質的な対策をできている就活生がごくわずかであるため、それさえしっかりできていれば内定するのも難しくないと思います。
【ESの書き方のまとめ】
- まず、会社がどういう人間を求めているかを調べる
- その上で自身のメッセージとストーリーを決める
(例:分析を通じた施策出しが強み、使うストーリーはアルバイト) - 具体的なストーリーを考える
- 全体のストーリーをブロックで書いてみる
- 実際に文にする
最後まで読んでいただきありがとうございました!この記事が皆さまの就職活動の助けとなれば幸いです。そして皆さまの成功をお祈りしています。
今後はES添削企画などは随時行っていく(かもしれない)ので、ぜひ就活の鷹を応援&アカウントフォローお願いします!
「ESの書き方 応用編」や「志望動機」についても記事にして皆さまにお届けできたらと思っているので、公開まで今しばらくお待ちください。
また記事の中で不明な点等あれば、DMにてご連絡ください!なお、ESの添削に関しては企画をやっているとき以外は受け付けていないので、その点はご了承ください。