ジョブのお題を就活の鷹が問いてみた
みなさんこんにちは。
前回の第一部「ジョブってそもそもどんなことするん」編に引き続き、今回は第二部「ジョブのお題を就活の鷹が問いてみた」をお送りします。実際に就活の鷹がジョブのお題を解いてみました。
ただ、お題に対して実際に細かい内容をリサーチし検討はしません。内定者の視点でジョブのお題を考えるとこういう考え方になる、というご参考にしていただけると幸いです!
既にジョブに参加された方は振り返る形で、これから参加する方は考え方の参考として読んで頂きたいです。
前提条件
まず最初に、ジョブのトピックについて触れておきます。一般に、ジョブのお題としては下記のようなものが多いです。
- とある企業の中長期経営計画/売上向上策を練る
- とある企業の新規事業を立案する
- とある分野でのビジネスチャンスを考えた上で、そのプロジェクトを営業しにいくクライアントまでを自分たちで決定する
今回は「とある企業の中長期経営計画を練るもの」を題材に考えていきます。
具体的には、「くら寿司の中長期経営計画の検討」を考えていきます。
条件としては以下を想定します。
- 回転寿司チェーン「くら寿司」を展開する株式会社くらコーポレーションの経営企画室からの依頼。
- 経営企画室は、中長期経営計画についてコンサルティングを依頼してきた。
- 内容は経営企画室長に報告することを想定する。
ジョブのお題を就活の鷹が問いてみた
いきなりですが結論から言うと、ジョブの全体の流れとしては以下のようになります。
それでは、各フェーズについて、その目的や具体的な内容について説明していきますね。
① スケジュール決め
まず全体的なスケジュールを決める必要があります。これは、先にスケジュールを決めてしまうことで「アウトプットから逆算して物事を検討・リサーチできる」「全体のスケジュール感をメンバーで共有できる(しないと進め方がメチャクチャになる)」といったメリットがあります。
スケジュール通りにいかないことが多いですが、それでも最初にスケジュールを決めるべきです。予定外のことが起きたときはチームで柔軟に対応しましょう。
スケジュールはアウトプット(経営企画室への提案)から逆算して立てます。以下はあくまで逆算の一例ですが、
というように項出しすることができると思います。
スケジュールの項出しが終わったら、次はそれぞれの作業に所要する時間を振っていきます。例えばスライド作成に3時間ほどかかるのであれば、その前の「ストーリーラインの確認」のステップはプレゼン発表前の3時間前に終わらせ、更にその前の「ソリューションの検証」は・・・という形です。
このようにスケジュールを立てることで、無駄が生じることを避けられます。ジョブは非常に短い時間で質の高いアウトプットを求められるので、タイトにスケジュールを立てておきましょう。アウトプットから逆算してスケジュールを立てた後には、頭から並べてみておかしなところがないか確認しましょう。
② 「課題の仮説」を立てるためのリサーチ
そもそも何を解決するのか、それを決めないと話は始まりません。回転寿司業界にメチャクチャ詳しい人を除き、くら寿司がどこに課題を抱えているのか瞬時に思い浮かぶ人はまずいないでしょう。そのため、「仮説を立てるためのリサーチ」が必要となります。
これをしないと、見当違いの仮説を立てては棄却し、また見当違いの仮説を立てては棄却し・・・という、死ぬほど無駄な時間の使い方をしてしまいます。ですので、まず最初にチーム内で分担して簡単に現状を分析しましょう。
実際に調べる際は、「自社を調べる班」「業界を調べる班」「競合を調べる班」などに分担するとダブリを避け、効率的に情報収集ができます。
また、課題を見つけるのに欠かせない視点が、「クライアントが成りたい姿と現状のギャップ」です。そのギャップを埋めるのを邪魔しているのが「課題」のほかなりません。
これらを調べることで「いつまでに」「何を」「どれくらい」(例:売上を3年以内に20%アップ。予算は500億円)といったゴールを定めることができます。これらはソリューションの評価軸に繋がるので、明確に抑えておいてください。
なお、このリサーチにそこまでの時間をかける必要はありません。「ここに課題がありそうだな」というのを見つけメンバーと共有することが目的のため、それがわかればさっさと切り上げましょう。お題にもよりますが、10〜20分とかでしょうか。
③ 「課題の仮説」の持ち寄り+議論
上述のように、リサーチをある程度済ませると業界と自社の全体像が見えてきます。すると「大体この辺に課題があるんじゃないかな」というのが見えてきます。個々がこの「課題の仮説」を持ち寄り議論します。
そして、持ち寄った仮説の中でも一番クリティカルなものはどれかを決める、もしくは順序付けをします。「チャネルに問題があり、家族連れが来づらい」「日本市場は衰退しているため海外を狙うべき」「味に問題がある」「子供向けメニューが少ない」などが「課題の仮説」の粒感としては適切です。
④ 「課題の仮説」の検証のためのリサーチ
仮説が立ったら、それを検証します。例えば、
- チャネルに問題があり、家族連れが来づらい
という仮説を検証する場合、サブ論点として、
- 家族連れの市場規模があり、その市場規模は全体から見ても放って置けない割合である
- その家族連れの客数が自社は現状、あまり取れていないエリアが存在する
- 家族連れは店舗へのアクセスを大事とする
- 店舗を展開すれば競合の優位に立てるエリアが存在する
といったものが上げられます(3C+業界全体像で多面的に考える)。これらを分担してメンバーでリサーチします。
サブ論点が全て正しいと証明できればめでたく仮説が正しいことが示されますが、中々そうも上手くいきません。仮説が棄却されるたびに次の仮説をサブ論点にブレイクダウンし、リサーチし直す、更にそれの繰り返し・・・という作業を延々と繰り返すことになります。デスマーチです。嫌になってきますが、コンサルワークは日々こんな感じみたいです。修行のつもりで臨みましょう。
この4のフェーズの中、時には3と4の中をグルグル回しまくることになります。ここで予想以上に時間がかかってしまうことはザラにあるので、できれば筋の良い仮説をバシッと立てることに尽力しましょう。
⑤ 「ソリューションの仮説」出し
解くべき課題が決まったら、次にソリューションの策定です(課題が入り組んでいる場合、このフェーズの前に「課題のより細かな理解」のフェーズを挟む場合もあります。課題の原因や、課題に関わるステイクホルダーを調べる作業です。これをしないと見当違いなソリューションが出てきたりします)。
ソリューションを思いつく限り出していきます。ここで出なかったアイデアは提案に含まれることはまずありません。
アイデア出しのテクニックの一つとして、過去の事例、他業界の事例、海外の事例などを参照すると説得力のあるソリューションが見つかることがあります。
アイデアをたくさん出した後は評価をしていきます。自社の持つリソース、自社の理念、プロジェクトの時間的制約、コストなどの検討から評価軸を設け、アイデアを評価していきます。ここで順位を付けたものがそのまま「ソリューションの仮説」の順位表になります。
⑥ 「ソリューションの仮説」の検証のためのリサーチ
「ソリューションの仮説」が本当に妥当かどうかを検証していきます。4. 「課題の仮説」の検証のためのリサーチと同様に、「ソリューションの仮説」をサブ論点に分けていきます。
例えば、
- 家族連れがアクセスしやすく、競合に対し優位性を持つことができる場所に店舗を増やすことで売上の向上を狙う
というソリューションを検証するためには、
- 店舗展開のコストは予算に抑えられる範囲内である
- そのコスト以上のリターンを見込めるエリアが存在する
といったサブ論点が存在し、更にその下に「そのエリアの家族は〇〇のような外食に月々〇〇円消費する傾向があり・・・」などのサブサブ論点が続きます。大変ですね。そう、コンサルワークって大変なんです。クライアントがコンサルに仕事を頼む理由がわかりますね。
⑦ ストーリーラインをまとめ、今一度確認
ここまで来たら後はまとめです。「現状」「課題」「ソリューション」。これらを一本のストーリーラインにして言語化します。言語化することでチームメンバーと共有でき、足並みを揃えることができます。
なお、「課題」と「ソリューション」の箇所で分岐が複数存在しているはずなので、それらもしっかり記録し、なぜクライアントへの提案にそれらが載っていないかを理由づけて説明できるようにしてください。質疑で「他にはなかったんですか?」という渋すぎるツッコミが飛んできた場合にもドヤ顔で打ち返せます。
⑧ スライドに落とす
あとはスライドに落とすだけです!別にコンサルっぽいスライドを作ることに拘る必要はありません。大事なのは中身です。
ですが、折角中身が良くてもオーディエンス(=コンサルタントの方たち)に伝わらなければ価値はゼロです。少なくとも、
- 1スライド1メッセージ
- プレゼン全体の流れがロジカル
- 誰が見ても分かるスライド
などには配慮しましょう。
終わりに
いかがでしょうか。
今回の記事はあくまで「就活の鷹の一内定者がジョブを進めるとしたらこう進める」というもので、他の内定者だったらまた別のアプローチを取るでしょうし、現役のコンサルタントはもっとエレガントな考え方をするでしょう。
「こうやって解けば通るんだ」ではなく「こういう考え方もあるよね」くらいに参考にされた方がいいかと思います。むしろ「ここおかしくね?こうやったほうがいいでしょ」というツッコミが浮かべばコンサルタントの適正は大アリだと思います。
自分の考えを常に持ちつつ(斜には構えず)、今回の記事も思考の餌にしてみてください。