コンサルティング業界の全体像 【コンサル業界研究シリーズ①】
こんにちは、就活の鷹です。
今回は、コンサル業界について具体的な例を交えて紹介したいと思います。
コンサル業界(特に戦略コンサル)では志望動機が問われないこともあり、「何をやっているか詳しく知らないけど、とりあえず入社する」という方が多いです。実際、我々もその一員でした。
そうして入社していった結果、「思い描いていた仕事と違う」と苦労している方も多いのが現実です。実際、19卒でもポロポロと退職者が出てきています。そういったミスマッチを減らすためにも、今回は業界について詳しくお伝え出来たらと思います。
注:コンサルという仕事は世に多くありますが、今回は経営・戦略コンサルを主に扱います。
コンサルのビジネスモデル
課題解決そのものをサービスとして提供
まず最初にコンサルとはいったい何をしているのかを理解しましょう。
ずばり、コンサルのやっていることは「クライアントの課題を解決する」ことです。これを「企業のお医者さん」と例える方もいます(実際は企業以外にもクライアントはいますが)。
広義の意味なら、リクルートやキーエンスなどの「コンサルティング営業」もコンサルティングといえますが、それはあくまで自社の商品を売るための手段としてやっているのであって、コンサルティングが本業ではありません。
今回の記事では、「課題解決そのものを商品としている」ことをコンサルティングとして進めようと思います。
クライアントの課題は多岐にわたる
ここまで読んで「課題って具体的にどういうこと?」「クライアントの方がその業界に詳しいのに、なぜコンサルを頼むの?」と思う方がいると思います。
クライアントがコンサルを雇う理由(=課題)は大きく以下に集約されます。
- 自分たちにケイパビリティがないため、外部の知見/リソースを借りたい
- 人手が足りないので貸してほしい
- 自分たちがやりたいことを通すための裏付けが欲しい
- 万が一何かあったときに「コンサルの言う通りにやっただけです」というためのスケープゴート
皆さんがコンサルと聞いて思い浮かぶのは一番最初の理由だと思います。実際は、意外と残り3つの理由で頼まれることも多いです。ファームによりますが、ほとんど人貸し、いわゆる「高級派遣業」と化している場合もあります。
自分が入ろうとしているファームがどういった案件を受注しているのかは、入る前にしっかり見極めたほうがいいと思います(知り合いの社員に聞いてみたり口コミを見てみたり、等)。「経営者と戦略について議論したかったのに、実際は現場でシステムのエラーチェックしてるだけ…」なんていうのは、ありがちなミスマッチの一つです。
事業会社やファンド、行政機関が主なクライアント
多くの方がクライアントとして想像するのは事業会社だと思いますが、それ以外にもファンドや行政機関もコンサルの重要なクライアントです。
それぞれのクライアントから具体的には以下のような依頼を受けます。
- 事業会社:
全社/事業戦略の策定、コストカット、RPA導入による業務効率化、人事評価制度の再編 等 - ファンド:
ビジネスデューデリジェンス(BDD)、買収後統合(PMI)の支援 等 - 国、行政機関:
公共政策に関する調査研究、行政評価制度の構築支援 等
基本的に様々な業界/領域の案件を手掛けますが、ファームによって得意なセグメントがある場合が多いです。例えば、シンクタンク(○○総合研究所)は、公立の研究所や大手金融機関から派生して生まれていることが多いので、行政機関による調査代行案件などに強みを持っていたりします。他にもブティック系と呼ばれるような中小規模のファームが、特定の業界や領域に対する専門性を強みに大手ファームと差別化を図ることもあります。
解決する問題の領域によって、コンサルの関わり方が変わる
解決する問題の領域によって、コンサルがどのようにクライアントと関わっていくのかが異なります。
例えば、全社戦略の策定といった経営の最上流を扱う場合、コンサルは数か月の期間、クライアントの上層部とディスカッションして仕事を進めます。(もちろん現場へのヒアリングや長期の常駐を行うこともあります)
一方、ITシステムの導入による業務効率化といった下流を扱う場合は、1年~数年間、クライアントの対象業務を扱っている部署に常駐しながら仕事を進めることもあります。
業界のトレンド
フルライン化、デジタル強化、事業投資の3つのトレンド
近年、コンサルティング業界には以下の3つのトレンドがあります。
-
- フルライン化
- デジタル領域の強化
- 事業投資
外資系を始めとする戦略ファームは、戦略立案の提案のみならずその実行支援も行い始めました。戦略ファームに入ったのに、1年間の駐在案件にアサインされた、という話も聞きます。またStrategy&やモニターデロイトのように、総合ファームが戦略領域に進出することも少なくありません。
こういったフルライン化の流れにより、戦略ファームと総合ファームの境目はなくなりつつあります。
各ファームは戦略~実行まで領域を拡げるとともに、デジタル領域の強化も積極的に行っています。情報格差で儲けるコンサルファームにとって、その差が激しく、かつ需要の大きいデジタル領域へ投資を集中させるのは当然の判断といえます。
一時期、アクセンチュアからBCGへ大量に転職者が発生していたのもこの流れの一環といえるでしょう。デジタルマッキンゼー、BCGデジタルなど、デジタル専門で別組織を立ち上げているファームもあります。
また規模やブランドで外資系に勝てない日系ファームは、コンサルティングと事業投資を組み合わせたビジネスモデルを採用し始めました。日系戦略コンサルティングファームのほとんどは事業投資を行っています。DIやIGPIはこの典型例です。
景気の向上とともに人数拡大
大手企業の業績向上につられ、コンサルティングファームの景気も良くなっています。またM&Aの数も増加傾向にあるため、デューデリジェンスやPMIなどの案件も増えています。そのためコンサルティングファームは案件数に対し、人員が不足しているのが現状です。
そのため、各ファームは新卒・中途問わず、採用を強化しています。ファームによっては、若手を大量に雇って、クライアントに派遣する高級派遣業的側面も拡大しています。
戦略ファームにおいても、「アップ・オア・アウト」ではなく「アップ・オア・ステイ」という言葉も叫ばれるようになりました。しかし、いったん景気が悪くなり案件数が減れば「アップ・オア・アウト」が復活する可能性はあります。
コンサルティングファーム一覧
現在国内には、外資系、日系の様々なコンサルティングファームが存在しています。ここではそのうち代表的なファームを紹介します。戦略コンサルについては別記事で詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。
なお、区分については議論もあるかと思いますがあくまで参考までにどうぞ。
- 戦略コンサル(詳しくは別記事へどうぞ)
- マッキンゼー
- BCG
- ベイン
- A.T.カーニー 等
- 総合・ITコンサル
- デロイト
- PwC
- KPMG
- EY
- アクセンチュア
- アビーム
- シグマクシス
- IBM
- ベイカレント 等
- 組織・人事コンサル
- リンクアンドモチベーション
- マーサー
- コーンフェリー
- タワーズワトソン 等
- シンクタンク系コンサル
- 野村総合研究所(NRI)
- 三菱総合研究所(MRI) 等
- その他コンサル
- 船井総合研究所
- 山田ビジネスコンサルティング 等
終わりに
いかがでしたでしょうか。今回はコンサル業界の全体像についてお伝えしました。
業界構造や個別の仕事内容をしっかりと理解すれば、選考対策も効率よく行え、かつ精度の高い意思決定もできます。
そういった業界研究をするための情報を今後もお伝え出来たらと思うので、引き続き宜しくお願い致します。